バイクのABSとライディングのABC

モトナビという雑誌がリニューアルして5年目となった。いろいろな雑誌とお付き合いさせていただき、かれこれ35年になるけど、これはこれで都会的でおしゃれな雑誌でいいですね。

創刊当時には、仕事をちょくちょくいただいており、鮮明に記憶していることといえばタンデム解禁前のタンデムテストでした。

高速道路タンデム解禁に向けて、タンデムでの安全性あるいは危険性が意外に少ないことをアピールするために行った、100キロからフル制動やブレーキングしながらのレーンチェンジあるいは簡易型トライカーナなど、モトナビによるダイナミック・セーフティ・タンデム・テスト:DSTTのことが、つい昨日のことのようです。

ツアラー、スーパースポーツ、アメリカン、スクーターまでやりました。このテスト担当に、私を選んでいただき光栄でした。

某バイクで100km/hからのタンデム・ABSフル制動で、ABSが作動しながら後輪が高々と浮き上がっても、後席の大谷さんは女性といってもさすがにスタントウーマンなので、私のどんな運転にも悲鳴を上げなかったことにもビックリ。常に平然としていました。ちなみに、某車両では後輪が上がるほどのフル制動時ではフロントフォークのたわみも確認できました。

そしてこのテストでの目的である「タンデムでもソロと同じ速度から、たとえば100km/hフル制動での制動距離がどうなるか」に対する結論で、制動距離は同じか、場合によって短くなったことも証明できました。本当ですよ。

警察からも、このデータを利用したいとの依頼がありましたが、実際のタンデム走行で、ソロと同じ制動距離になるとは大半の人が思っていませんから、制動理論の正しさが証明できてホッとしました。

もちろん、テストには相応の運転スキルは必要です。もうひとつの理屈としてはABS付きなら同じバイクで誰がやっても同じ制動距離になるはずです。残念ながら現実の交通で結果は同じにはならないし、まったく同じブレーキ入力ができても機械的にわずかな誤差が発生します。

ちなみに100km/hからのフル制動テストで、何度テストしてもまったく同じ速度から制動をやったので、光電管速度測定担当の大学教授が感動してくれました。機種が変わっても同じ動作をしたのですが、実はコースが狭いために助走距離が十分にとれず、100km/hに持ち込むのがとても難しかったと記憶しています。

これからの時代はABS付きが常識になります。トラクションコントロールなどのハイテク技術も含めて、その機能を使いこなせるように練習をしておくことがスポーツの始まりであること。そして、使いこなせないのであれば、もう少し速度を控えて乗る:さらには早めにブレーキ準備をする、早めに掛け始める、という実に当たり前の取り組み姿勢が欠かせないと思います。

私は飛ばさないからブレーキ練習は不要、と言う理由では安全は創造できません。飛ばさなくても、いきなり急ブレーキを強いられるのが現実の交通ですから。ABSをフルに使える次元か、安全最優先のために「何ができないかを認識しておく」だけでもいいし、そして今走っている速度を消費税8%分控える(笑)のが真の安全と思います。ということはネクストは10%分の速度ダウンかな。

ABSがないなら、なおのことちゃんとちゃんとのライディングをしたいです。かくいう私もまだまだ修業の身。還暦過ぎてもいくつになっても進化を楽しみ続けたいです。

つまり、ABSよりも前に「ライディングABC」。

A: 当たり前のことを、B: ぼんやりしないで、 C: ちゃんとやれ。

ということで、モトナビ創刊当時から学んだ数少ないこの言葉を読者の皆様と共有できたらと思います。

いろいろなバイク雑誌が、ますます魅力ある雑誌にそれぞれが進化して行って欲しい。そしてバイク雑誌を読むライダーも、読まないライダーも、頑張って飛ばしたら上手くなる、という勘違いをせずに上達して行って欲しいです。
安全が最高のテクニックなのだから。
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Filed under: ひとりごと… — Hideki Kashiwa 10:04 AM
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